「これ、すっごく美味しいです!ふわふわだけど食べ応えがあって・・・ぼくはかえでちゃん信じますよ!あ、ぼくのことは気軽に総司って呼んでください」

なんかいろいろ言われたけどまとめると信じてくれるってことだろう。うん。

「おい、俺の事忘れてねぇか?」

「あ、忘れてました」

思わず本当のことを言ってしまった。

(でもしょうがないじゃん!全く話しかけてこなかったもん!)

「おい!ってか俺はまだ信じてねぇからな!」

唾を飛ばす勢いでわたしに言う土方、さん。

(そう思いつつ、本当は信じたいんでしょ。だってわたしに向けてた刀、しまってるじゃん)

そこら辺はしっかり観察しているつもりだから。

(でも・・・)

「もお、メンドクサイ・・・」

「おい!めんどくさいとはなんだ!」

「だって~信じてくださいよぉ、服とか、持ってる荷物とかでさぁ・・・」

土方さんは一瞬びっくりしたように目を見開いたが、すぐに元に戻る。

「そんなん、異国から来たもんだろ。そんなんでだませると思ったのか?」

「・・・は?」

堪忍袋の緒が切れ・・・た。うん。

「はぁ、信じてもらえなくてかえで、悲しいです・・・なので、最終手段つかいますね!」

わたしは立って襖の前に立つ。すく開けれるように手をかけたままくるっと振り返って言う。

「あの、なにを証拠にしても怒らないでくださいね?」

「あ、あぁ、いいが?」

「本当に?」

「だからいいって言ってるだろ。男に二言はねぇし、ここにいる総司が証人だ」

総司さんを指さしながらそう言い切る土方さん。

(ここまで言ったのなら怒らないね!)

「ふふ、豊玉さんから言質とったり‼」

「は⁉」

「ぷっ‼」

わたしは襖をさっきの総司さんのように勢いよく開ける。その流れで大声で叫ぶ!

「梅の花ぁぁ!一輪咲いてもぉぉぉぉ!梅は梅ぇぇぇぇ‼」

「春の草ぁぁぁ!五色までわぁぁぁぁ!覚えけりぃぃぃ‼」

「ちょ、お前、何処で・・・」

「かっ、かえでさっ・・・!すごいですね。ぼくのなかでの好感度が急上昇です・・・!」

(好反応ありがとうございます。わたしも好感度爆上がりです・・・!)

「えっと、豊玉さんの質問に答えますね。この、豊玉さんが書いた句は、未来では結構有名なんです。マニア・・・専門家のほとんどは全句覚えてますし。あ、勿論わたしも、ね?」

「え?それ本当ですか?よかったですねぇ、豊玉さん?」

「さて、次の句は・・・」

「分かった‼分かった‼信じるから‼」

顔を白くしながらわたしにつかみかかって来る土方さんを即座に総司さんが取り押さえてくれる。

「まぁまぁ、落ち着いて・・・ね?」

「そうですよ・・・まぁ、今言ってもしょうがないですけど」

「は?なんで・・・?」

「だって、何人かこっち来てるもん」

「・・・ん?」

そういうと同時にドタドタとこっちに来る音がして、その後、開けっぱなしだった襖から男性がいっきにやってきた。