「かえちゃんはバイトはどう?」

「楽しいよ! やっぱりお店の服を着なきゃいけないから洋服代の出費は痛いけど、もともと好きなブランドだし、社割も効くし。夏休みの間にがんがんシフト入れてもらっちゃった」

ずっと憧れてたという、アパレルショップの店員のバイト。
時給はあまりよくないけど好きな服装で働けるのはうれしい、とかえちゃんは顔をほころばせた。
かえちゃん目当てでお店に来てくれるお客さんもいるらしい。

「そうだ。いち花の空いてる日、教えて。調整するから」

「調整?」

「綴さんから聞いてない? 圭くん、綴さんに声かけておいたって言ってたんだけど。ほら、四人で飲もうって話」

ああ……、とあたしは肩を落とした。
どうにか逃れようと思ったけど、そうもいかないようだ。
仕方なく、バイトの空いてる日をいくつか挙げた。

どうか予定が合いませんように、と祈りながら。

「楽しみだなあ。四人で集まるの、ひさしぶりだよね。お店どこにしよう。とりあえず個室あるところで探すね」

「ありがとう」

かえちゃんはうれしそうにストローをくるくるかき回した。
ユニコーン色のネイル。リボン型のリングについたピンクのチャームが、夢の世界へ誘うように揺れる。

溶けだしたバニラアイスはメロンソーダに混じり、人工的な蛍光グリーンはどろりと白濁した。