「もう行くの?」

「うん。かえちゃんが待ってるから」

ひさしぶりに蒸籠(せいろ)という名の綴のアパートで抱き合った。

心なしかいつもより、ぐっと奥深くまで突き上げられ、追い詰められる快楽と、とろとろと溶けてしまいそうなよころびで身体はいっぱいになった。

隣人にドン、と壁を叩かれたときは、さすがに血の気が引いたけれど。

それでも綴は気にする様子もなく、むしろ悪戯(いたずら)するように愉しげに腰を揺らした。
両手で口を押さえて必死に声を殺しながら、幾度となく身体をがくがく震わせ、あたしは果てた。

こうしてベッドから身体を起こして立ち上がってみても、身体の奥にはまだ揺さぶられているような感覚が残っている。

「いち花、もう一回」

綴は背後から首筋に唇を押し当て、囁くように甘く噛んだ。
あたしの腹をそろそろと撫でる指先はくすぐったいのちょうど一歩手前で、もっと欲しくなってしまう。

「ちょっと、綴……」

「うん?」

わかってない振りをした右手の人差し指と中指が、ショーツに引っ掛けられる。
吐息がこぼれ、腰は媚びるようにうねった。
だけど