恋愛は苦手です。でも恋の神様やってます。

おかしい。
世那と別れてからずっと、なんか物足りないような気持ち。

家についてからずっと考えていた。

この前、告白されてからも関係性は特に変化ない。むしろいつも通り。
それは世那がそうしてくれているのか?
それとも私がそうしているのか?

変化はないけれど、何かが変わった気がするんだよね?それが何かと言われたらよくわからないんだけど……。



好きな人、かぁ。



憧れた人とかはいたよ、アイドルとかスポーツ選手とか。そーゆーのではなく、側にいてほしい存在ってことだよなあ……。


「人間は難しく考えすぎる癖があるな。」

……やはり現れたか蒼。
ちょいちょい出てくるから、最近は部屋でも気が抜けない。

「せめて『入りまーす!』って言ってから現れてくださいよ!」

「言ってはいないけど、気配は出しとるぞ。それを感じとっていたではないか、今。」

……あぁ、確かに。出てくるって思ってたよ。それは気配を察知したのか?

「そう、勘も冴えてきただろ?」

「まぁ、そうかもしれません……。よくわかんないけど。」

「きっとそのうちわかるようになる、みやび並みの成長の早さだ。」
ニコニコしながら蒼が言った。

「ところで、なぜ難しく考えすぎるって?」
どういう事だろう?

「そのまんまだ。」
またクスクスと笑っている。
何がおかしいのか全くもう。

「よく考えろ、唯。何をそんなに悩む必要がある?存在が当たり前過ぎて心が見えてないだけだ。」



ん?
それってまさか。



「私、セナのこと好きってこと?」

そんなふうに世那を見たことなかったのに!?いつの間にか好きってこと!?

「やっと気づいたか。」

「やっとって……。好きとかではなくて、いつもいて当たり前の存在ではあるけど……。」
これが好きってことなのか??

「それもひとつの愛ってことだ。いなくなったら困るだろう。」

「そりゃ困るけど!!」

「いつもいる、のではなく『側にいてくれている』んだよ。離れられないんだろう、あいつも。」

そ、そおなの……?
離れられないの??

「何でセナは私から離れられない……??」

蒼の言い方が、すごく気になった。
離れられない。
そして、あいつも。『も』って、何?
複数形よね?
私から離れられない人が今まで何人もいたってこと?




「これ以上は、自分で考えなさい。」




ヒントは与えたぞ、という顔をして蒼は消えていった。