藤野総合病院で働き出した紫は、まだ足が本調子でないのでナースステーションで点滴や注射や包帯などの準備をしたり、パソコン入力や座って出来る仕事を中心に働き始めた。

 彼女の若さと明るさは重宝されて、柏木病院よりも良い同僚に恵まれて楽しく働いていた。

 また、光琉先生と親戚だという話も広がって、皆様子見している感もあった。

 それに、彼女が来てからというもの、光琉先生のかぶっていた猫がとれて、素があらわになり、皆面白がっていた。

 「お前、みんなに余計なことまた言ったのか?」
 
 「え?何も言ってませんよ。先生が実は悪魔だとか。本当のことでしょ?」
 
 「お前、誰のお陰で隣に住んでいるんだっけな?」
 
 「えー?誰でしたっけね?昨日私の作った肉じゃがに感動しておかわりしていたのは……」
 
 「……」