「ひどい。こんな人とは思わなかった。最初は患者さんのセクハラを叱ってくれていい人だと思ってたのに……」

 「そうなんですか?わあ、かっこいい。紫、先生に惚れなかったの?」
 
 「惚れる?それは違うと思う。いい人だな思ったけど……そういう所は全くない」

 「お前、まるで俺に色気がないみたいな言い方するなよ。失礼な奴だな」
 
 「お前とは何ですか?先生からそんな風に言われる覚えはありません」

 里香子は私達を交互に見て驚いている。
 
 「なんか。ふたりは漫才でもやったほうがいいんじゃない?」
 
 「なんだと?」「はあ?」
 
 里香子は笑いながらまた来るねと言って帰って行った。