「丁度お茶の時間だったし、美味しいケーキ屋さんが近くにあるから買っておいたわ。好きなのを選んでね」

 そう言うと、事務の女性?のような人が紅茶セットと一緒にお盆いっぱいのケーキをたくさんカートへのせて入ってきた。

 美しいケーキがたくさんで、目移りしてしまう。
 こんなケーキ食べたことない。びっくりしている私を見て嬉しそうな叔母。

 とりあえず、ショートケーキを選んで、取ってもらう。
 お茶をも入れてくれて、すっかり喫茶店の様相。

 「紫ちゃん。苦労してきたでしょ。あなたのお父さんは私の兄だけど、どうにも気弱な人でね。あなたのお母さんのことを愛していたんだけど、お金持ちのお嬢さんだった今の奥様を紹介されたときから権力に負けてあなたたち親子を捨てた。私は、どうしても許せなかったの。紹介した親も、兄も」

 「そうだったんですね。母は何も教えてくれなくて。叔母様のことも。就職のとき、色々お世話になったこと院長から伺いました。ありがとうございました。知らなかったとはいえ、お礼が遅くなってすみませんでした」