札幌分院は私が札幌いることを母から聞いていた院長が、かねてから地方でも分院を作りたいと思っていたそうで、いい機会だからと急ピッチで計画、開院したそうだ。

 「叔父様、叔母様。本当にご迷惑おかけして申し訳ございませんでした」

 私は立ち上がって深々と頭を下げた。

 「いいのよ、紫ちゃん。前世の記憶とお母さんのこと。不安になるのは当たり前。その上、光琉の側にはたくさんの女性。篠川君に聞いたけど、色々目撃してたのに光琉を責めたり一度もしなかったそうね。貴女の気持ちを思えば私達がするべきことはわかりきってたわ」
 
 「すまなかったね。光琉の縁談は私も断りたかったんだが、あの子も年齢が年齢だし、君と結婚のはなしが決まらないから先方もしびれをきらしてね。元々お付き合いがあった女性だったので一足飛びに結婚のはなしになってしまってね」