「うん。実は専門学校卒業した春に不思議なことがあったの。毎年行っていた梅園で占い師に呼び止められた。これから出会いがあり、逆らわず生きれば幸せになるって言われたの。後ろに何か見えるって言われて、気持ち悪くて考えないようにしてきた。でも、自分でその夢を見てから、占いは嘘じゃないのかもしれないと思うようになったの」
 
 「紫。信じてくれ。今度こそ幸せにする。今度こそって変だな?言わされてるのか?とにかく、俺は目の前の紫を幸せにするし、絶対に別れない。別れたら死んでもいい。なんか、誓約書でも書くよ」
 
 私は可笑しくて笑ってしまった。
 
 「いいよ。わかってる。そうだ、逆らわず生きろって言われたんだよね。忘れてたよ。私の今やっていることって逆らっているんだよね。光琉先生、私と結婚して下さい」
 
 光琉は立ち上がって私をそっと抱きしめた。
 
 「ああ。もちろん」
 
 そう言うと、私の顎を捉えてキスをひとつ落としたのだった。