その日。
 今日は遅くなるから食事はいらないというメールで紫は早めに食事をして、綺麗な月と星をベランダから見ていた。
 すると、タクシーがマンションの前に止まった。

 降りてきたのは、あの女性と光琉。
 タクシーから一度降りてきて、彼女は光琉に近寄るとあろうことか光琉の頬にキスをして帰って行った。

 彼女の服装はスーツ。
 水商売の女性ではないということは見るからにわかった。知的な感じの女性だ。

 私は驚いてその場でしゃがんでしまった。
 光琉に見ていたことを知られたくなかったから。

 それからだった。不安が増大し、彼のことを信じられなくなりつつあった。
 あの悲しい前世の夢もかなりの回数見るようになってきた。