紫は身体が良くなったので、退院してマンションへ戻る前に母の病室へ久しぶりに顔を出した。

 母は少し痩せていた。
 あまり状態が良くないのは見てすぐに分かった。
 自分が心配をかけるのも良くなかったに違いないと紫は反省した。

 「紫。顔色いいわね。良かったわ。院長から仕事のことは聞いていたから心配していたの。休職するって聞いたわ」
 
 「うん。お母さんを安心させて元気にさせるのが私の役目なのに、心配ばかりかけてごめんなさい。お仕事はしばらくお休みする。足がもう少し良くなってからにする」

 「そうしなさい。お前は無理ばかりするから、小さい頃から心配だったけど、大きくなっても変わらないわね。私のせいよね。色々我慢させて大きくなってからも自由にさせてやれなくて……」
 
 「お母さん。お願い、私幸せだから、変なこと考えないで.大丈夫だから」