紫は大きな声を出した。

 「だめ。それだめ。絶対言わないで。守るとか絶対ダメ」

 「……紫」

 「大丈夫。私強いから。とにかく、今は休んで治すね。迷惑かけてすみません。お仕事行って下さい」

 他人行儀な言葉を連ねる紫を光琉は叱り飛ばしたかったが、今はとにかく心の安定が必要だと思い、彼女の言うとおりにしようと決心した。時間がない。シャワーを浴びて着替えないといけないので、頭を撫でるとすぐに出て行った。

 その日から、紫は自分の身体と向き合い、無理をしないで養生するようになった。
 気持ちも違い、仕事のことでのストレスが全くなくなり、笑顔も増えてきた。

 院長は翌日に紫を見に来た。
 また、紫の今の病状も話してあると言ってくれて、心配しないように、自分のことだけ考えるようにと言ってくれた。