院長は手を上げると皆を沈めて頭を下げた。

 「朝からすみませんでした。持ち場へ戻って下さい。何かあれば師長経由で連絡を」

 そう言うと、光琉をつれて出て行った。

 父に黙って付いていくと、院長室へ入った。

 「光琉。お前は自分の立場がわかっているのか?ナースあっての病院だ。紫ちゃんが可愛いのは分かるが、彼女のミスをかばってどうする?それでなくとも皆彼女をかわいがるお前にイライラしているんだ」

 「そんなことはどうでもいい。紫は?病状は?足を診ないと……」

 紫のことになると何かがキレたようにおかしくなる息子を院長はじっと見つめた。

 「光琉!」