「いえ。そんな。ただ、注意しただけですよ」

 「ふーん。彼女が無理してるのは見れば分かる。また足をひきずっているしね。言っておくが、君のミスもかなりあるよ。俺は庇ってきたよね」

 そうだ。最初に彼女が光琉を好きになったのは、新人の時に自分のミスを庇って師長にとりなしてくれたのがきっかけだったのだ。

 「ナースは助け合うのが当たり前だ。自分だってミスをしないとは限らない。真面目な紫を追い詰めるとか君はどうなんだ、え?」

 彼女はびっくりして、後ずさり、部屋を出て行った。

 彼女が出て行った直後、バタンという音がして、キャーと言う声がした。驚いた光琉は飛び出すと、紫がカートを倒した横で自分も膝をついて倒れている。