紫は目をむいて怒った。
 
 「さあさあ、お母さんはそろそろ治療に入るからふたりは戻りなさい」

 院長の後ろからカートを引いたナースが現れた。

 特別室へ帰る途中で車椅子のまま、ナースステーションに寄り道した。
 みんな心配してきてくれた。

 迷惑をかけていることを謝って、出来ることを手伝うと言うと、大丈夫だと言われた。

 そこへ、紫と声がする。

 振り向くとあきちゃんだった。

 「紫、大丈夫か?心配したぞ。あれ以来会ってないだろ。里香子も心配してる。見舞いに来たいと言ってたが、光琉先生に止められて……」