到着すると、すでに消防隊の放水活動は始まっていた。

救助隊(おれたち)の仕事は、要救助者を速やかに見つけ助け出すことだ。

火元の1階からの逃げ遅れはなく、2階の美容院は幸い今日が定休日で誰もいないことがすでに確認できている。


「3階のエステサロンで要救助者1名。
外出していた店長が連絡して、本人が中にいることを確認したそうです。
その後電話は切れて繋がらないと」


先着隊からの情報に息をのんだ。

消防車や救急車が停まっているこの広い通りからは、3階にフィックス窓が4つ見える。

どれも人が通れるほどの大きさではない。

建物の横手に引き違い窓はあるようだけど、隣の建物との距離が近すぎてそこからの救出は難しい。

下手をすればそちらにも延焼する。

急がないと一酸化炭素中毒になる危険性が高い。

空気呼吸器に防火衣、装備は全部で約20キロ。

要救助者用の簡易呼吸器も持った。

準備は万端だ。


「階段上るぞ」

「はい」

「面体着装」

「了解、面体着装」




――待ってて。必ず助ける。