迷ったけどそのまま玄関を入り、「お邪魔します」とおずおずと部屋を覗くと、ローテーブルの脇で横になっている翔太くんの姿が目に入った。
嘘…ホントに過労で倒れた?
それとも刺された?
「翔太くんっ」
駆け寄って控え目に揺らす。
「翔太くん?起きて…」
「んー…」
彼がもぞもぞと体勢を変え、生きてる…と安堵したのもつかの間。
とろんと薄く目が開き、肩を抱き寄せられたと思ったら、そのまま彼の胸に顔を打った。
一瞬何が起きたのかわからなかった。
彼の腕が背中に回り、抱きしめられている状態だ。
「しょ、翔太くんっ!」
声を上げると、ビクッと身体を揺らした翔太くんが私を見て目を見開き、パッと身体を離して起き上がった。
「ご、ごめんっ間違えたっ」
頭を引っ叩かれたような衝撃が走った。
『間違えた』?
「あおいちゃん、なんでここに?」
「あ…ごめんなさい。勝手に入って。
いつもの時間にお弁当を取りに来ないし、インターホンを押しても出ないし、何かあったのかと思って」
「そっか。ごめん、心配かけて」
少しパニックに陥っていたようでキョロキョロ辺りを見回した彼が、時計に目をやって「やばっ」と声を漏らす。
「私、戻るね。遅刻しないでね」
「あ――」
ローテーブルに弁当の入ったバッグを置き、背を向けて逃げるように彼の部屋を出た。
自分の部屋に入り、玄関のドアに寄りかかったまま座り込んだ。
『間違えた』
心臓が嫌な音を立てる。
そのうち隣の部屋のドアが開く音がして、駆けていく靴音が遠ざかって行った。
嘘…ホントに過労で倒れた?
それとも刺された?
「翔太くんっ」
駆け寄って控え目に揺らす。
「翔太くん?起きて…」
「んー…」
彼がもぞもぞと体勢を変え、生きてる…と安堵したのもつかの間。
とろんと薄く目が開き、肩を抱き寄せられたと思ったら、そのまま彼の胸に顔を打った。
一瞬何が起きたのかわからなかった。
彼の腕が背中に回り、抱きしめられている状態だ。
「しょ、翔太くんっ!」
声を上げると、ビクッと身体を揺らした翔太くんが私を見て目を見開き、パッと身体を離して起き上がった。
「ご、ごめんっ間違えたっ」
頭を引っ叩かれたような衝撃が走った。
『間違えた』?
「あおいちゃん、なんでここに?」
「あ…ごめんなさい。勝手に入って。
いつもの時間にお弁当を取りに来ないし、インターホンを押しても出ないし、何かあったのかと思って」
「そっか。ごめん、心配かけて」
少しパニックに陥っていたようでキョロキョロ辺りを見回した彼が、時計に目をやって「やばっ」と声を漏らす。
「私、戻るね。遅刻しないでね」
「あ――」
ローテーブルに弁当の入ったバッグを置き、背を向けて逃げるように彼の部屋を出た。
自分の部屋に入り、玄関のドアに寄りかかったまま座り込んだ。
『間違えた』
心臓が嫌な音を立てる。
そのうち隣の部屋のドアが開く音がして、駆けていく靴音が遠ざかって行った。