あの日から、煌人を見ると、少し胸がざわつくようになった。

あの日というのは。

執事さん不在で、車で煌人と二人きりで待っていた日のこと――




『俺と手、繋いで』

『!』




顔を真っ赤にした煌人が、おずおずと、私に向かって手を伸ばした。

早く握ってほしいって、そう言わんばかりに。フルフルと震えている。



『い、今……?』

『今すぐに。嫌?』

『嫌じゃ、ないけど……』



胸の前で、両手をギュッと握った私。気づけば、私の手もフルフルと震えていた。

そんな私を、煌人に見られるかと思うと……



『嫌じゃない、けど……恥ずかしい……っ』

『!』



瞬間、煌人は目を開いて、素早く私の腕を握った。



『あ、煌人っ!』

『ごめん、今はもう――何もかも無理』



そう言って、お互いのシートベルトを素早く外した煌人は、優しく私を抱きしめる。



『え、ちょ、あの……!』