「何を?」

「自分から逃げて予防線を張るの、もうやめる」

「凛……?」



女子から冷たい視線を浴びた時、嫌になって煌人とは距離を置こうって思った。

その方が良いだろうって、そう思って。


だけど――



「煌人がクッキーをくれた分、私も煌人を笑顔にしたい。

だから煌人は、ちゃんと本気で笑って。嫌な事は嫌って言って」

「はぁ?お前、何言って……」

「傷つくことから逃げちゃだめ。私も、もう逃げないから」

「――っ」



だから、何度でも立ち向かって。

そして戦って。

「鳳条」グループの社長の息子だからって、煌人が言いたい事を我慢するのは間違ってる。

やりたい事を諦めるのも、絶対に違う。



「理不尽を前に、抵抗しない煌人なんて見たくない。いつもみたいにカッコよく、スマートに決めてよ」

「え!今さりげなくカッコイイって!」



嬉しそうな顔をする煌人を見て、私の頬も緩む。



「自分のしたい事や言いたい事は、ちゃんと口に出して。煌人も……そして私も。お互いに」