大嫌いなキミに愛をささやく日

「……何でもない」



いつも通りに笑う煌人に腹が立って。

それ以上、煌人と話しをするのをやめた。


そして――


先輩を送り届けた後、今度は私の家に向かう。

後部座席には、あの日から喧嘩しっぱなしの私たち。

その空気は……重たい。



「おい凛、さっきから何を怒ってんだよ」

「別に。怒ってないよ」

「俺をチラリとも見ないくせに、何が”怒ってない”だ」



煌人は私でなく窓の外を見ながら「ふん」と不機嫌に鼻を鳴らす。

そのまま無言を貫くから、私も煌人に倣(なら)い、それ以上は喋らなかった。



「……」
「……」



その重い空気に終止符を打ったのは、運転席にいる煌人の執事さんだった。



「おや、そういえば」



すると、いきなり車が停まる。

次にエンジンが切れ、執事さんが運転席から降りた。



「すみません、少し席を外してもよろしいですか?奥様から言いつかったお品物を、すぐに買ってまいりますので」