「だって、あの紳士な鳳条くんだよ?女子に気を遣わせるなんて、絶対にしないでしょ。それが好きな人へなら、なおさら」

「そう、なのかな……」



チラリと、もう一度だけ煌人を見る。

私の目に、煌人はいつも通りに見える……のだけど。

どうやら、それは張りぼてらしい。



「あ、鳳条くん!それ、私のお皿だよ?」

「うそ、ごめん!あー、やちゃった……」



隣の人のお皿を奪う失敗を犯した煌人。

ため息をついて、申し訳なさそうに女子を見た。



「ごめんね、すぐ取り替えてくるよ。お皿、余ってたかな?」

「い、いいよ!むしろこのまま、」

「ん?」



「(いや、このままでいいわけないでしょ……しっかりして、女子!)」



煌人には聞こえなかった女子の声が、ガッツリ聞こえた私。

これ以上ふぬけた煌人を見てられなくて、ガタリと席を立つ。

そして教卓に並べてある余ったお皿におかずをついで、煌人たちの席に急いだ。



「煌人、これ」