勘違いして可哀想、って思ったけど。でも何度も「バカ」って言われたし。追いかける義理はない。



「明日、誤解を解けばいいや」



そう思って、私は自分の家に帰る事にした。



思わず煌人とケンカ別れみたいになっちゃった。

だけど私の顔は、少し緩んでいる。



「御曹司の煌人と一般人の私が釣り合わないって言おうとしたのに。まさか逆に捉える?

家がお金持ちなのを嫌ってるのも変だし、そんな家で育った自分を自慢しないのも変」



ばかりか、逆に。

自分にすごく自信がないし。

(↑煌人のプライドを削ぎ落としている張本人)



「本当……煌人って面白い」



ふふ、と笑みが漏れた。

それは、ファミレスでナル先輩の言葉を聞いて以降、久しぶりに出た笑顔だった。





*おまけ*


プルル、ガチャ


「悪いんだけど、凛が今ひとりで家に帰ってるから、傍についてやってくんね?」

『私は煌人様の執事なのですが……というか、煌人様は今どちらに?』

「俺は……傷を癒してから家に戻る……」

『……(察し)』