『(ん?)』



俺の後ろの席の奴が、すごい顔で舌打ちをした。

俺を見ながら。



『(今の……俺への舌打ちだよな?
え、なに?なんで?)』



何か悪い事した?と焦る俺の手には、百点満点のテスト用紙。

後ろの席の「三田」という女子は、穴が開くほどこの用紙を見ていた。



『み、三田さんは、テストどうだった?』

『さぁ』

『(さぁっ?)』



渾身の勇気を振り絞って話し掛けたのに、それだけかよ!

しかも、お前の手にテスト用紙あんじゃねーか。点数を教えろよな……。



『三田さん、あのさ、』

『ごめん、近寄らないで。ちょっと無理』