大嫌いなキミに愛をささやく日

『あなた……そう、あなたよ。市役所の隅で暗い顔をしている、そこのあなた。

あなたの横にいるのは、あなたの子供?』

『……に、なったばかりだ』

『そう。可愛いお嬢さんね――

突然だけど。女性にレディファーストしない男なんて、男じゃないわよ?』

『は?あんた、何の話を……』


目を丸くしたお父さんに、煌人のお母さんは笑った。


『女性はね、レディファーストをされる事で幸せになれるの。お嬢さんがいくら小さくても、レディはレディよ。

今のあなたは、レディを幸せに出来るスマートな男なの?』

『!ッ、……』


何も言い返せずに黙ったお父さんに、煌人のお母さんは言ったそうだ。


『仕方ないわね。ウチで働きなさい。働きに見合った額を支給するわ。だから――

まず、あなたが幸せになるの。

あなたが幸せになって、自分自身に余裕を持ちなさい。その余裕が、レディファーストを生み出すのよ。

そしてあなたの一番大切なレディを、あなたが幸せに導きなさい。

それが親が子にしてあげられる最上級のレディファーストよ』