泡音ちゃんは「入場ゲート」に立っている係が、煌人の名前をひたすら連呼している事に気づく。



「ねぇ鳳条くん。次の借り物競争に出るんだっけ?すっごくお呼びがかかってるよ?」

「やっべ。忘れてた」

「はい、行った行った。凛は私が探しておくから」



泡音ちゃんが言うと、煌人が「いいよ」と言った。

フッと笑った時に、ゆるく風が吹いて……イケメンとの相乗効果で、さわやかさ抜群だ。



「俺が凜を探しに行くよ。今スゲー気分がいいんだ」

「それはいいけど……」



滅多に見ない煌人のルンルン顔に、泡音ちゃんの頬も緩む。



「まぁ好きな人に、あんな事を言われたんじゃ……。喜ぶなって言う方が無理か」



――確かに煌人はムカつくし腹が立つし気に食わない。けどね、

――それ相応の努力を、煌人はいつも、人並み以上に時間をかけてやってんの