「うん」



その言葉を交わし、ドアはプシューと音を立てて閉まる。

私が見えなくなるその時まで、煌人は私は見つめてくれていた。



「ありがとう、煌人」



そして、私は――

お父さんのいるホームへと足を進める。

その足取りはとても軽くて……

何から話そうかな、なんて。

そんな事を、笑顔で考えていた。





一方、その頃――





プルルル



「父さん母さん、俺。煌人。

忙しい中悪いんだけど、ちょっと時間を作ってほしい。

二人に話したいことがあるんだ――」



私と別れた後、目的の駅で降りて、いつもの執事さんの車に乗った煌人。

真剣な顔で話す彼の顔を、執事さんがただ静かに、運転しながらミラー越しに煌人を覗き見ていたのだった。




*おまけ*



その頃の泡音ちゃん。


「誰からも電話こないんですけどー!

結局、凛は見つかったのー!?鳳条くーん!!」