こんな時に何を思っているんだと自分でも突っ込みたくなるが、彼女を見ると胸がどきどきする。
 元より助けてやりたかったが、よりそうしてやりたいという気持ちが強くなる。

 彼女を助ける方法はあとから考えることにして、とりあえずここはオリバーに合わせよう。


「確かにお前の言ってた通り上玉だな」

「そうだろ?」


 するとオリバーがいきなり彼女を殴る。

 咄嗟に止めそうになるが、ここで止めた方があとでやりにくくなると思い、自分を制する。

 オリバーに殴られた彼女はその場に倒れる。


「う゛……!」

「こうやって殴るとよく鳴くんだよ」


 オリバーが楽しそうに彼女を何度も殴る。

 そんなことをして何が楽しいんだ。
 今すぐこいつを殴り飛ばしてやりたい。
 しかし彼女を助け出すためにも今は我慢しなければ。

 そう思い、必死に拳を握りしめ耐える。


「痛い、……お願い。なんでも……なんでも言うこと聞くから。だから……お願いだから殴らないで」

「あ? 誰に言ってんだ? お前が俺の言うことを聞くなんて当たり前なんだよ。これは口答えした分な」


 彼女の必死な願いはオリバーには伝わらず、やめるどころか暴力が酷くなる。

 オリバーがリーベの腹に蹴りを入れると、彼女はうめき声を上げ、その場にうずくまる。

 流石にこれ以上は見てられない。