「やめろ!」


 オリバーを押さえつけ剣を奪い返そうとするが、半狂乱になっているせいか、先程よりも力が強く、中々奪い返せない。


「離せ! お前が悪いんだ! お前がこいつのことを連れ出そうとしなければ、俺はこんなことするつもりなかった! 全部お前のせいだ!」


 どこかで彼女のことをここから連れ出そうとしているのを聞きつけていたみたいだ。

 半狂乱のオリバーに突き飛ばされる。
 すぐさま立ちあがろうとするが、それより先にオリバーが俺に斬りかかってくる。


「やめて!」


 オリバーの背後に必死に体を動かそうとしているしている彼女の姿が見える。

 オリバーの剣を避けようとするが、間に合わず胸から腹にかけて斬られる。


「リュカ!」


 彼女が俺に駆け寄ってくる。
 その顔は今にも泣き出しそうだ。


「リーベ、俺は大丈夫だから、そんな悲しそうな顔しないで」


 心配させないように言った声は思っていたよりも弱々しいものしか出ず、これはまずいかもしれないと焦る。

 とにかく彼女をオリバーから守らなければ、と思うのに、体が言うことを聞いてくれない。
 このままだと彼女が殺されまうかもしれないのに。

 彼女がオリバーに何かを言おうと口を開いた時、俺の同僚や上官が部屋に入ってきた。

 これでなんとかなると思い安心したのか、そのまま気を失う。