目の下に泣きぼくろがあることも要因だろうが、パッチリとした目元に通った鼻筋。
薄い唇が弧を綺麗な描いているのを見つつ、顔面に見惚れていた。

(こんなに綺麗な人っているのね)

彼は花をひとつとってマティルダの髪に飾りつけて遊んでいる。
不思議な行動は前々から見られたが、魔法の指導以外でこんな風にマティルダに触れてくることは一度もなかった。

マティルダは黙って言葉を待っていたが、ベンジャミンは何も答えない。
ここがどこなのかを問いかけようと口を開いた。


「ベンジャミン様、ここは……?」

「僕の家だよ」

「何故、花がこんなにたくさんあるのでしょうか?」

「マティルダが好きだって言っていたから集めてみた。嬉しい?」

「えっと……嬉しいですけど」

「そっか」


ベンジャミンと普通に話せているということがまず奇跡だが、どうやらマティルダとの何げない会話を覚えていて喜ばせようとしてくれたことのようだ。
はにかむように笑う顔が可愛くて再び見惚れていたが、今はそれどころではない。