──転生した悪役令嬢が、必ず幸せを掴めるとは限らない。


そして、ついに〝あの台詞〟が耳に届いた。


「数々の証拠は揃っている。マティルダ・ガルボルグ、貴様との婚約を破棄をする……!」

「……!」


頭の中に鳴り響く『人生が終了』のお知らせ。
緊張で震える手をドレスをギュッと握りながら隠していた。

(どうしよう……!やっぱり断罪回避できなかった。このままだとわたくし、どうなってしまうの!?)

足は小鹿のように震えているが重たいドレスの裾で隠れている。
マティルダはギュッと手を握りながら意を決して壇上を見上げた後に反論するために口を開いた。


「わたくしは……っ!」

「長年、俺の婚約者として王家のために尽くしてきたことは賞賛に値するが、今回の件で父上と母上はがっかりするだろうな」

「違うのです……!ローリー殿下、わたくしの話を聞いてください!」

「うるさい。黙れ!」

「……………」


そう言うローリーの手は隣にいるシエナの腰にあり、体を寄り添うようにして密着させている。