愛したがらない紗也くん




 自分という存在にもっと自信を持てるよう、次は内面を意識していこう。


 そう無意識に手に力がこもった、次の瞬間。



「──…きゃっ」



 何かにぶつかり、重心がぐらりと傾いた。


 …やばいっ…、倒れる…!


 そんな思いも虚しく、身体は後ろに引きずられていく。


 ───バササ…ッ




 ……うそ…、でしょ…。

 あの大量のノートが…。


 目の前には、無造作に散らばったノートたち。



 …あぁぁ、ほんとに今日はついてない。


 よりによって自分から仕事を増やすことするなんて。


 おまけに尻もちをついたおしりがヒリヒリと痛い。



 ……帰りたい、今すぐに。



 本気でそう思った。

 もう帰っていいですか、先生?



 友達と遊びにも行けず、重いものを持たされ、終いにはやらかして尻もちをつく始末。