暖かい春の風が吹きつける、4月。


 放課後の校舎は夕日の光を取り込んで、眩しいくらいに明るかった。


 こんな天気のいい日は、友達の妃和(ヒヨリ)と遊べたら最高なのに。



「なんでこんなことしてるんだ私…」



 手にはクラス分のノートがどっさり。

 40人分のノートの重さに、腕も心も沈んだ。



 何が悲しくてこんな雑用を押し付けられなきゃいけないんだ。


 だいたい、女子の私にこんな重労働任せる先生が悪い!


 思い返すは職員室でのこと。



「すまんな静原、先生これから会議なんだ。これ机に配っといてくれないか?」



 ついさっきの先生の言葉。

 一見申し訳なさそうに見える先生も、私は知っている。



 先生、その会議ってまだ始まるまで30分近くありますよね…?


 あと私が職員室入るまで、先生コーヒー飲んでくつろいでましたよね?


 私が職員室入った途端態度変えませんでした?あたかも忙しいかのように。


 意外と策士なんですね先生!?



 頼まれた直後の私の心の中は、それはもう荒れに荒れていた。

 その顔面にコーヒーぶっかけてやろうかと思うほどであったが、そんなこと出来るはずもなく。



 律儀に「…わかりました」って言っちゃう私は大バカ者だ。