「ねえ、芽衣。返事は?」

響さんにせかされて、私はハッと我に返った。

あの夜の勇吾君の言葉が頭によみがえる。

『メイメイ、俺と付き合わない?』

そして今、目の前の人から告げられた言葉。

『芽衣・・・俺の恋人になって欲しい。』




私は・・・。

私の気持ちは・・・・・・。




「響さん。さっきの推理は間違ってます。私の本当の犯行動機を自供します。」

「犯行動機・・・?」

「はい。私が響さんと文香さんをストーカーした件です。」

「ストーカー・・・」

「私、響さんが文香さんを好きになってしまったと思ってすごくショックでした。文香さんに嫉妬してたんです。食いしん坊な私が食事も喉を通らなくなるほど・・・。だから私は勇吾君と一緒に響さんと文香さんの決定的な場面を見て、響さんを諦めようと思ったんです。」

「芽衣・・・。」

私は響さんの目をみつめた。

「私も・・・響さんが好きです。響さんが誰よりも好きです。」

「良かった・・・。もう芽衣を逃さない。」

響さんは私の言葉を聞いて、ホッとしたように大きく息を吐き出した。

そして間髪入れずにこうつぶやいた。

「じゃあ、これから芽衣を食べてもいい?」

「え・・・?」

「今、聞いた芽衣の言葉を実感したい。」

そ、そんな急展開・・・心の準備がまだ・・・。

「今日は余計な侵入者は誰も来ない。そこでゆっくり、思う存分、甘く蕩けた芽衣を味わいたい。駄目?」

響さんの瞳が切なげに潤む。

・・・そんな顔でお願いするなんて、響さんはいつもずる過ぎる。

そして私も・・・チョロすぎる。

「はい。思う存分食べちゃってください。」

晴山さん、アナタの言っていた通り、私は響さんにパクっと食べられてしまうみたいです。