その日の勇吾君との待ち合わせ場所は、駅前のファーストフード店だった。

注文してからメニューを作り始めるその店は、私と勇吾君のお気に入りだ。

同い年の清水勇吾(しみずゆうご)君とは高校生の時に、たまたま同じスーパーでアルバイトをしたことがきっかけで仲良くなり、気付けばもう5年越しの付き合いになる。

定期的に連絡を取り合っては一緒に飲みに行って会社の愚痴を言ったり、くだらない話をすることが出来る、私にとっては貴重な異性の友達、大切なボーイフレンドだ。

典型的な犬顔で、爽やかな笑顔が母性本能をくすぐるタイプ。

勇吾君の底抜けに明るくて裏表のない性格が好きだったし、今もその気持ちは変わらない。

それが友人としてなのか、異性としてなのかははっきりと意識していなかったけれど。

ただ一緒にいるとすごく気楽で、もしかしてこの長い人生を勇吾君とずっと一緒にいることになるかもしれない、などと楽観的に考えていた。

「メイメイ。この前のキングオブ☆漫才、観た?」

「観た観た!めっちゃ面白かったよね!」

「俺、あの優勝したコンビ好きなんだよ。ネタがシュールでさあ。」

「私は3位のネタが好きだな。あれは名人芸の域に達してるね。」

「あれ、メイメイ、前髪切った?」

「うん。少し切り過ぎちゃったんだけど。」

「全然。いいカンジだと思うよ。」

「良かったぁ。」

私と勇吾君はトマトが挟まったハンバーガーをムシャムシャと食べながら、しばらくお互いの近況を報告し合った。