家に帰って、洗面台の鏡に映った自分の顔をまじまじと見た。

涙をこすった眼のふちが赤くなっている。

あーあ。

響さんの前で泣いちゃった。

響さん、どう思っただろう。

きっと情緒不安定な女だって、変な女だって・・・そう思われた。

響さんから頼まれたことが、心に重くのしかかっている。

響さんは、自分の我欲の為に、人の幸せを引き裂くような人間なんかじゃないって、そう思いたい。

でも、じゃあなんで勇吾君と文香さんを別れさせようとするの?

私には全然わからない。

けれど約束を反故にすることも、私には出来ない。

意を決して、スマホに勇吾君の電話番号を表示させる。

大きく息を吸って、吐いて、そして通話ボタンを押そう・・・と思った瞬間、スマホの着信音が鳴った。

「わわっ!」

着信元はまさかの勇吾君からだった。

私はすぐに通話ボタンをタップした。

「もしもし。」

「あ~もしもし。メイメイ?」

「うん。・・・勇吾君どうしたの?」

心なしか、勇吾君の声が弱弱しく感じた。

いつもはそのハスキーな声で元気よく話すのに。