「ウェッ・・・ウエーン!!」

家に帰って来た私は自室のベッドでうつぶせになると、手足をバタつかせ、大泣きをした。

どうしてこんなことになるまで気づかなかったのだろう。

格好良い響さんと美人な文香さん、大人の魅力を持つお似合いのふたりが出会えば、恋が始まってしまうに決まっているではないか。

響さんに告白しようと決意したばかりなのに、もう失恋しちゃった。

神様、ヒドイよ。

「ウェ・・ウェ・・・ウェーン!!」

「どうしたの?!芽衣ちゃん。」

私の大きな泣き声に気付いた順が、あわてて部屋に入ってきた。

「順・・・やっぱり男の人ってぷにぷにムチムチしてる子が可愛いなんて言ってたって、結局はスタイルの良い女性が好きなんだね。」

「芽衣ちゃん?」

「私、失恋しちゃったぁ・・・。」

やれやれとため息をつきながら私のベッドに腰掛けた順は、そっと私の頭を撫でた。

「その相手ってこの前デートに行った、7歳年上の男?」

「・・・うん。」

「だから言ったろ?そんなオヤジに惑わされない方がいいって。」

「・・・・・・。」

「芽衣ちゃんは可愛くて魅力的な女の子だよ。一番側にいる弟の僕が言うんだから間違いない。」

「順・・・。」

「だからそんなに悲しまないで。今日は僕が夕食作ったから。」

「・・・ありがとう。順。」