響さんはそのブルーの小さな紙袋に留めてあるシールを剥がし、中に入れて置いた黒いハンカチタオルを取り出した。

「響さん、ウェアもシューズもブラックだから・・・もし良かったら使って下さい。」

「ありがとう。大切に使わせてもらうよ。」

響さんがいつものように私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「芽衣に楽しんでもらえて良かった。また一緒に来ような。」

「・・・はい!」

響さんは、再びハンドルを握り、車を走らせた。

その横顔を盗み見た私は、胸の奥がキュンと鳴るのを感じた。

なんだろう・・・勇吾君に対する気持ちとは全然違う。

ただ楽しいだけじゃなくて、切なくてもどかしくて、いつまでもこの時間が終わって欲しくないと思う、切羽詰まったようなこの想い。

響さんが私の本当の彼氏になってくれたらいいのに・・・と切に願っている自分に気付く。

また一緒に来よう・・・それはどういう意味?

友達として?妹として?

そんなの嫌だ。

・・・そうだ。

ダイエットが成功したら、響さんに告白しよう。

もしかしたら痩せて綺麗になった私を、女として好きになってくれるかもしれないから・・・。