澤乃井さんは真剣な目で私をみつめた。

「芽衣を初めてみたときから気になってた。真面目だしで素直だし可愛いし・・・芽衣の事がもっと知りたくなった。芽衣、俺と・・・。」

え?

これってもしかして、告白・・・?

ちょっと待って。心の準備がまだ・・・

私はギュッと目を瞑った。

その時、後ろのテーブルに座る学生の集団が「わあああ!!」と大きな嬌声を上げて、澤乃井さんの声がかき消された。

「・・・・ず」

え??

「友達になって。」

私はゆっくりと片目を開けた。

「・・・はい?」

「ええと、ほら・・・俺、職場は男しかいないし、そもそも男子校育ちだから女友達っていないんだよ。俺に近寄ってくる女ってどうも色仕掛けが露骨で萎える。でも芽衣はなんていうか・・・話しやすいし、本音で話してくれるし、俺も自然体でいられる。芽衣が話しかけてくれると実はすごく嬉しかった。俺は芽衣より7つも年上のなんの取り柄もない男だけど・・・嫌か?」

そう言って澤乃井さんは上目遣いで私をみつめ、照れ臭そうに笑った。

び、びっくりしたぁ!

なんだ。トモダチ・・・か。

そうだよね。

私みたいなぷに子はやっぱり友達止まりだよね。

なんかちょっとガッカリ・・・。

そのうち澤乃井さんからも、勇吾君みたいに女性絡みの相談を持ち掛けられたりするのかなぁ。

そしたら・・・ショックだなぁ。

でも私はそんな思いなどおくびにも出さずに、微笑んでみせた。

「嫌なわけないです。もう全然、ウエルカムです!」

「良かった。じゃ、改めてよろしく。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」

そして私は澤乃井さんと固く握手を交わした。