私は本屋さんで、体重計を売っている会社の社員食堂のレシピ本を買った。

そのレシピは全部500キロカロリーで計算されているのだ。

主菜は肉、魚、豆腐などの高タンパク質な食材をなるべく揚げず、焼いたりゆでたりして料理する。

そして野菜はたっぷり取り、お腹を膨らませるために汁物も付け加える。

今夜の夕食は鶏肉のバジルソース、春キャベツの和え物、中華風スープ。

「最近の夕飯の献立は本当にヘルシーだね。芽衣ちゃん、ダイエット頑張ってるんだ。」

順が感心したようにそう言いながら、バジルソースを指で舐めた。

「そうよ。私だってやるときはやるんだから。」

そう言いながら順のお茶碗に白飯を大盛り入れてあげる。

でも私の白飯はちゃんとキッチンスケールで重さを計る。

100グラムで168キロカロリー、これが私の一食分の白飯の量なのだ。

献立を食べる順番にも気を使っている。

初めに糖質の一番少ないものから食べる。

なぜなら最初に食べたものの吸収率が一番高いからである。

だから野菜・汁物・タンパク質の多い肉や魚・そして最後に炭水化物であるご飯を食べる。

ビールやアルコールも飲みたいけれど、炭酸水で我慢。

もちろん甘い物やデザートは目標体重に到達するまでお預けだ。

「芽衣ちゃんのことだから、三日坊主で終わるかと思っていたけど、ちょっと見直したよ。」

「そう?えへへ。」

・・・実は私もそう思っていた。

食べることが大好きで、運動が嫌いな私にダイエットなんて続くはずないって。

でもフィットネスクラブは案外私の性分に合っていたようで、少しづつ慣れていくにつれ、いつの間にか身体を動かすことが楽しくなっていたのである。