「ふんふふふふー ふふふふふーふふ♪」

あいみょんのヒット曲を鼻歌で歌いながら、お鍋の中でグツグツと煮えるホワイトシチューをゆっくりとお玉でかき混ぜる。

すると白くてとろみのあるシチューの合間から、ニンジンやジャガイモの欠片が顔を出した。

小皿に少しだけシチューとジャガイモを掬って、味見をする。

ジャガイモはほろりと口の中で柔らかく崩れ、シチューの味もまろやかに仕上がった。

うん。夏でもホワイトシチューはやっぱり美味しいな。

私は皿に二人分のシチューを取り分け、ダイニングテーブルに並べた。

冷蔵庫から先に作っておいたアボカドサラダを取り出し、それもホワイトシチューの皿の横に置く。

「順。ご飯出来たよぉ。」

私はリビングのソファーでスマホのアプリでゲームに興じる、3歳年下の弟に声を掛けた。

いつもはだらだらとゲームを中断せずにいるのだけれど、今日はお腹が空いていたのか、すぐにダイニングテーブルの椅子に着席した。

順のアーモンドの形をした茶色い瞳が、テーブルの上に並ぶ料理を捉えた。

いつも思うことだけれど、我が弟ながら、なかなか整った顔をしている。

「おっ。美味そう!芽衣ちゃんの手作り?」

「うん。市販のルーを使わず、小麦粉とバターと牛乳で作ったんだよ。心してお食べ。」

私は順の茶碗に大盛りの白飯をよそって手渡し、自分の分もよそうと、椅子に座った。

「いただきます!」

ふたりで声を合わせて挨拶をすると、早速食事を始めた。

順は食べ盛りの20歳、沢山食べて貰わなきゃ。

私は麦茶で喉を潤したあと、スプーンでホワイトシチューを掬い、口の中へ入れた。