「あのさ、小春」
「うん?」
「ずっと気になってたんだけど、去年のこの時期、一緒にプラネタリウムに行ったことあっただろう? その時、短冊になんて書いたんだよ?」
確か、あの時、楓くんには伝えていなかった。
本人の前で言うのは恥ずかしくて、胸の内に留めていた。
でも、今なら……。
「知りたい?」
「うん。めっちゃ知りたい」
今なら、楓くんに伝えたい。
「それはね、“来年も楓くんと一緒にいられますように”って書いたの」
「なっ⁉︎ 可愛いこと書くなよ」
楓くんは、赤く染まった頬を空いている手で隠すなり、必死に悶えてる。
その姿は何回見ても可愛い。
「楓くん、私のその願いは叶ったんだよ」
繋がれた手がなによりの証拠。
「じゃあ、俺の願いも叶ったな。“小春の願い事が叶いますように”って」
「うん!」
きっと、楓くんも一緒になって願ってくれたおかげだよ。
来年になると、楓くんは調理師になる夢を叶えるために調理専門学校に通うと同時にこの町を出て1人暮らしを始めると言っていた。
そしたら、楓くんとあまり会えなくなってしまう。
そう考えるととても寂しいけど、でも、織姫と彦星のようにずっと想い合っていたい。
たとえ、1年に1回しか会えなくてもずっと楓くんのことを想っていたい。
目を閉じ、星に向かって願いを込めた。
ーー“これからも、ずっと、楓くんと一緒にいられますように”
《END》



