私、いつも楓くんに救われてる。

それは、数え切れないくらいあって、どんなに感謝しても感謝しきれないくらい。

だから、今度は私が楓くんに返したい。

頑張る勇気に、踏み出す勇気。

君から貰ったたくさんの勇気をのせて、この想いを言葉にして君に伝えたい。

「……っ……」

お願い。

どうしても伝えたいの。

喉に引っかかっている声を必死に絞り出す。

「……か……え……で……くん」

「こ、小春? い、今……」

楓くんは、とてもびっくりしている。

だって、私、1文字ずつだけど声が出ているから。

楓くんと声で会話するのは久しぶりのことで、緊張して震える声になるけれど、楓くんの耳にしっかりと届いたみたいだ。

ーー『いつか学校でも楓くんと話せるようになりたい』

その目標が、今、達成できた。

それはきっと、学校が苦手な場所ではなくなったから。

不安となる要因を楓くんが取り除いてくれたから。

教室はまだハードルが高いけど、みんなと話せる日はそんなに遠くはない気がする。

楓くんが傍にいてくれるなら、もっと頑張ってみたいという思いが強いの。