「それで、俺の気持ちをこのボールに込めるからどうか受け取って欲しい」

以前とは違って、今度は楓くんからのパス。

ゆっくりと私が頷いたのを見て、楓くんはボールを投げるため少し距離をとった。

「小春が好きだ!」

手に持っているボールに想いを込める楓くん。

そして、「いくよ」と合図を出して私に投げた。

孤を描くように真っ直ぐにボールが飛んできて、その場を動かなくても受け取れる範囲。

どうしてもキャッチしたい。

迫り来るボールに、必死に手を伸ばした。

ポスっという音とともに、それは私の両手に収まった。

楓くんの気持ち、ちゃんと受け取ったよ。

ボールを胸に抱えて楓くんを見てみると、彼はホッとしたのか安堵の表情を浮かべていた。

それを見て、私も笑顔になる。