「それで、今日、小春が学校に来たら1つ伝えたいことがあったんだ」

さっきから気になって仕方がなかった。

私に伝えたいことって一体なんだろうと不思議に思っていると、真剣な眼差しで私を真っ直ぐ見つめる楓くん。

その綺麗な瞳は私を映していて、私も楓くんから目を逸らすことなんてできない。

まるで、ここだけ時間が止まったかのように。

「俺、小春のことが好きだ」

思いもしなかった告白に目を見開いて、楓くんをまじまじと見つめる。

これは、夢……?

一瞬そう思ったけれど、頬だけじゃなく耳まで赤くなっている楓くんの姿に夢ではないんだと感じた。

「耳が聞こえない母さんのこと受け入れてくれたの小春が初めてだったし、それでもっとたくさん手話を覚えようとしてくれたの凄く嬉しかった。それに、小春は話すことが難しいのに、一生懸命相手に伝えようと頑張っていて、それで小春の声初めて聞けた時、とても感動した」

楓くの言葉に嬉しくなって、徐々に目頭が熱くなる。

「今日、久しぶりに学校に来てくれたことも、みんなに手話で挨拶できたのも、傍で見ていてめちゃくちゃ刺激もらった」

それは全部、楓くんが傍にいてくれたから頑張れたんだよ。

楓くんじゃなきゃ、頑張れなかったんだよ。

私にとって、かけがえのない人で必要不可欠な存在なんだよ。

「だから、これからも、お前が頑張る姿をもっと近くで見ていたいんだ」

楓くんの真っ直ぐな思いに、伝わってくる想い。