「なぁ、小春。ちょっと来てくれない?」
楓くんと弁当食べ終えると、突如、彼はそう言った。
『どこ行くの?』
「俺にとって、思い出の場所。そこで、小春に伝えたいことがあるから」
思い出の場所ってどこだろう。
それに、伝えたいことってなんだろうと思いながら楓くんについて行くことにした。
教室を出て、すぐ横にある階段を降りて、しばらく歩く。
先導してくれる楓くんは終始無言で、場所はどこ?と手話で聞くにも聞けなくて、ただただ楓くんに導かれるまま隣を歩く。
少しもしないうちに校舎から離れて、渡り廊下を歩いた先に見えた場所。
えっ、ここって……。



