「お父さん、お母さん、ありがとう」

感謝の気持ちを伝えると、突如、お母さんに抱きしめられた。

「……小春……小春」

私の名前を呼びながら、お母さんはさらに涙を流す。

久々に感じる温かいぬくもり、ひしひしと伝わってくる優しさ。

私はお母さんの背中にゆっくり手を伸ばし、お互い抱きしめ合う。

お父さんも加わって、私たちを包むように手を回した。

今もなお、目からたくさんの涙を流すお母さんに私は思わず笑みが溢れた。

「ちょっと、お母さん泣きすぎだよ」

「だって、嬉しいからに決まってるじゃない」

お母さんとお父さんの腕の中はとても温かくて、私まで涙が止まらなくなってしまう。

こっちの世界を選んだことに後悔してない。

だって、こんなにも私のために泣いてくれるお母さんがいる。

心に寄り添ってくれるお父さんがいる。

その日の夜、私は大きな決断をした。