「聞いても答えない、なにを考えているのか全く分からない。だから、お前は話すことをしないがために働きたくないのか?」

……違う。

進学するしないにしても、いずれは働きたいとは考えている。

こんな私でも働ける場所があれば。

「このままでは、お前のご両親もとても心配するだろうな。ただでさえ、学校で話さないことで迷惑かけてるのに」

「……っ」

「なぜ、星乃は頑張る努力をしないんだ? 周りはもう来年の受験に向けて頑張っているというのに」

……先生の言う通りだ。

楓くんは専門学校に行く費用のためにバイトしているのに、私は……なにもしていない。

それどころか、将来のことを決めてすらいない。

「お前を見てるとイラついてくる」

先生はそう言い残すなり、乱暴にドアを開けて教室を出て行った。

やっと静かになったと思うのに、ちっとも安心へと変わらない。

それどころか不安が募るばかり。

私は、その場から1歩も動くことができずにいた。