「ねぇ、きみ、」
·····
「こんな所で寒くない?もうすぐ日が暮れるよ」
·····
「家はどこ?」
·····
「ねぇ」




公園のベンチに体操座りして丸まっている女の子に声をかけた。
しかし、返事は返って来ないどころか身動き一つしない。
明日には10年に一度の大寒波がやってくるとニュースでやっていたと言うのに。
もう日が暮れかけていて気温も下がってきているのに目の前の女の子はパーカー1枚で公園にいる。

なんの反応も示さないため、肩をトントンと叩いてみた。
「このままじゃ風邪ひくよ?」
そう声をかけながら肩を叩くとピクッと動いたのが分かった。

ゆっくりと女の子が顔を上げる。
年は高校生ぐらいだろうか。
「どうしてこんな所に居るの?」
·····
顔はあげてくれたものの、無言のままだ。
「寒いし、家に帰ったら?」
··········フリフリ
やっと反応してくれたが、家には帰らないらしい。

「困ったな…」

声を掛けた以上見過ごすことは出来ないし、こんな寒い中薄いパーカー1枚でいるこの子を置いていくことは出来ない。
僕は決心して彼女を家に連れて帰ることにした。
もしかしたら帰れない理由があるのかもしれない。

「きみ、僕の家くる?
って誘拐みたいだな、、」

「嫌だったら無理にとは言わないけど。あ、名前は?」
··········
··········
また無言か。
··········



「·····かえで」

聞き取れるか分からないくらいの声だったが僕の耳にははっきりと聞こえた。

「かえでちゃんだね?何か家に帰れない事情があるなら寒さしのぐだけでもうち来ない?」

よく観察していると手の甲にタバコを押し付けられたような跡が見えた。もしかしたらこの子は親から虐待を受けているのかもしれない。最初は保護者が心配するかもしれないと思っていたが、自分の中でこのまま放置してはいけないと思うようになっていた。

「·····ぃぃの?」
「もちろん。帰りたくなったら帰ればいいし、とりあえず今日だけってことでも大丈夫だよ。」
「…あり、がとございます…」
「うん!」




かえでside
家から追い出されて公園にいたら、知らない男の人に声をかけられた。
無視してたら帰るだろうと思っていたのに、帰るどころかずっと話しかけてくる。

しまいには、肩を叩いてきたので驚いて顔を上げると心配した表情の男性が立っていた。

私が家には帰れないことを告げると、その人は悩んだ挙句、自分の家に来ないかと提案してきた。
見ず知らずの人の家に上がるのは正直自分でもどうかと思ったが、家に帰れば親のストレス発散材料として使われるだけだし、何より寒すぎて夜を越せないと思ったので、ありがたく提案を受け入れることにした。



そんなこんなで、家に上がらせてもらえることになったため、彼の後ろをついて行っている。
身長は高く、細身で、スーツを着ている。



「あ、あの。」

「ん?どうした?」



そう言って彼は振り返る。

「お名前、聞いてもいいですか?」
「あぁ、そういえば、自己紹介まだだったね。
僕は佐藤勇志です。駅前の病院で働いてます。
よろしくね」

「…佐藤、、さん」
「そんな堅苦しくなくていいよ(笑)
んー、そうだなぁ。勇志くん、勇志さん、勇志先生。
いや、先生は病院みたいだからなぁ(悩)
ま、苗字以外なら何て呼んでくれてもいいから!」
「…はい。勇志、さんで。」
「うん!」



そんなこんなで、家に上がらせてもらえることになったため、彼の後ろをついて行っている。
身長は高く、細身で、スーツを着ている。

「あ、あの。」
「ん?どうした?」

そう言って彼は振り返る。
「…名前、聞いてもいいですか?」
「あぁ、そういえば、自己紹介まだだったね。
僕は佐藤勇志です。駅前の病院で働いてるんだよ。
よろしくね」

「…佐藤、、さん」
「そんな堅苦しくなくていいよ(笑)
んー、そうだなぁ。勇志くん、勇志さん、勇志先生。
いや、勇志先生は病院みたいだからなぁ(悩)
ま、苗字以外なら何て呼んでくれてもいいから!」
「…はい。勇志さん、で。」
「うん!」

「とりあえず、ここの部屋使ってね。」
と、案内された部屋はベッドや机が置かれている部屋だった。
「あ、ありがとございます。
でも、こんなに広い部屋、使えないです。」
「そんなに広くないよ。もともとお客さん来た時ように作った部屋だしね。最低限のものしかなくてごめんね?」
「い、いえ、ありがとうございます。」