〇昼休み。
 ちひろ、彩香とお弁当を広げる潤。

ちひろ「で、付き合うことにしたんだ」
潤「付き合ってないよ」

 朝、手を繋いで教室に戻るとクラスメイト達に冷やかされたことを思い出す。
 葉澄は全く動じず、二限目の途中で仕事だと言って帰っていった。
 クラス公認の仲のようになってしまい、にやにやした空気の中で潤は居心地が悪い。

潤「まずはお友達からだし……。というか、みんなは御門くんの味方なの?」

 少女漫画のように「あんたなんか彼にふさわしくないんだから!」と女子に囲まれるかと思っていた潤は意外に思っていた。

彩香「この高校って地元からの進学率が高いんだ。わたし含め、御門くんと同じ中学出身の子が結構いるんだけど……」

彩香のセリフに合わせて、中学生の葉澄の回想。

彩香「あの見た目でしょ? 中学時代からモテてたからトラブルも多くて」

 ・話したこともない他校の生徒に告白されて困る葉澄
 ・泣いている女子と「振るなんてひどい!」と怒ってくる友人の対応に困る葉澄
 ・男友達の好きな子が自分を好きになってしまって友情がぎくしゃく……困る葉澄

彩香「人付き合いが嫌になっちゃったのか、中三の時には誰とも喋らなくなっちゃって。モデルデビューしてからますます近寄りがたい存在になっちゃって、みんなひそかに心配してたんだよねぇ……」

 気を遣って話しかけても葉澄側からシャットアウトしている様子。
 高校入学時にきゃーきゃー騒がれるのも迷惑そうだった。

ちひろ「御門くん、無口だしね」
潤(さっきすごい喋ってたよ⁉)
ちひろ「めげずに話しかける潤すごいなーって思ったし、仲良くしたいオーラが伝わったから御門くんも潤に心を開いたんだねー」

 親のような目線で頷き合うちひろ&彩香。
 クラスの皆も同じような気持ちのようで、潤を悪く言う子はいない。