○潤の心象風景。楽しかった思い出が写真のように流れていく。

潤モノローグ(それからの日々はあっという間だった)

 修学旅行でのひととき。女子三人で教室で仲良くしている姿。
 葉澄と一緒に過ごしたり。その傍ら、図書館で猛勉強に励んだりもして。

○三月。引っ越しの日。
 両親は先に空港に行ったという設定で、潤だけは最寄りの駅でちひろと彩香との別れの挨拶。

ちひろ&彩香「またね、潤!」

 元気いっぱいな二人の見送りに笑ってしまう潤。

潤「こんなあっさりしたお別れって初めて……」
ちひろ「だって再来年には戻って来るんでしょ!」
彩香「どうせ、わたしたちも受験生だしね」

 受験という言葉にちひろはげっそりしている。
 「現役合格」とちひろに肘鉄をくらわす彩香。高校受験を思い出したちひろは胃が痛そう。

潤「……また東京に帰ってきたら、一緒に遊んでね」
ちひろ&彩香「当たり前じゃん」

ちひろ「そういえば、今日、御門くんは来ないの?」
潤「うん。撮影だって。期末試験に合わせて、仕事セーブしてたみたいだし……」
彩香「絶対に見送りに来ると思ってたのに意外。……いや、意外でもないか」

 潤がしているネックレスを見た彩香は納得。
 以前、葉澄が潤にプロポーズしたときの指輪を、潤はペンダントトップにしてつけていた。

ちひろ&彩香「またね、潤!」
潤「うん、またね!」

 元気よく手を振って二人と別れる潤。
 電車に乗り、流れていく東京の街並みを見送る。
 ひときわ大きな看板が目に入る。葉澄がこちらを真っ直ぐ見つめているような看板。

潤(夢みたいな東京生活だったなぁ……)

 スマホにメッセージ。葉澄から。

葉澄『いってらっしゃい』

潤モノローグ(でも、夢じゃない)

『いってきます』とメッセージを返す潤。

潤(わたしはここを自分の居場所にするんだ)